ユダヤ人と日本人

日本はなぜユダヤ人を迫害しなかったのか―ナチス時代のハルビン・神戸・上海

日本はなぜユダヤ人を迫害しなかったのか―ナチス時代のハルビン・神戸・上海

「日本はなぜユダヤ人を迫害しなかったか」を読む。
この本は、第1次世界大戦かた第2次世界大戦(太平洋戦争)を中心に、日本という国がユダヤ人をどの様に処遇したかという研究をまとめたものだが、杉原千畝に関する記述はいままでの彼に対する僕の知識をはるかに超え、「目から鱗」ものだった。
資料を研究した結果としての報告的な内容で、杉原氏がユダヤ人を助けるために通過ビザを数千枚発給したことは有名な話だが、その裏に日本のユダヤ人政策・・・国際政治関係を有利に運ぶためにユダヤ人をほかの外国人と同等に扱う・・・という国家レベルの方針に裏付けられたものであり、外務省が杉原氏に対して「ビザを発給することそのもの」を止めさせようとしたことは無く、難民化するユダヤ人の上陸を阻止するための命令を発しただけ・・・実際には杉原氏だけでなくほかの在外公館にもこうした権限は与えられていた・・・という事実に驚いた。難民が増えすぎて受け入れに困るから・・・通過するだけなら難民でもOK・・・というより、入国管理が当時の日本国の法令では県レベルで取り扱われたため、通過ビザがあれば上陸させていた・・・という背景もあってのことだと・・・とりあえず上陸したユダヤ人の中に「金銭・資産を所持しない」人々・・・つまり旅行を継続できない人々に対するビザの発給の停止・・・所持金を確認してからビザを発給してくれ・・・という訓令が外務省から杉原氏に対して出された批判めいた指示だった・・・。
そうなると、発掘すれば、そういうことをした外交官は他にも存在したかもしれない・・・。この時代、日本の在外公館が発給した日本国通過ビザの総数は5580枚とされており2000枚強が杉原氏が発給したとしても3000枚近くが普通に日本の在外公館で発給されていたことになる。杉原氏以外にも、人道的見地からかどうかは別として、結果的にユダヤ人を助けた外交官は居たのだ・・・。