「張説」

張説―玄宗とともに翔た文人宰相 (あじあブックス)

張説―玄宗とともに翔た文人宰相 (あじあブックス)


図書館で借りた本「張説 玄宗とともに翔けた文人宰相」を読む。中国の「唐」の時代、文武両道に秀で、玄宗皇帝に重用された「張説」。実は、そういう人物が存在したことを知らなかった。
「唐」の時代の官僚の生き様や、官僚制度の成り立ちそのものを理解するうえで参考になった。
則天武后は既存の名家による政治を変える目的で科挙により登用した官僚を重用した。そのなかにさしたる名家の出身ではなかった「張説」も含まれていた。しかし、則天武后の時代から玄宗の時代へと進む中で彼は何度か左遷と栄達を繰り返し、玄宗の信頼を得て、ついには燕国公に補され国政の中心を担う。それだけにとどまらず、詩作や文章作成能力にも長け、軍務においても一定の成果をあげた。既存の勢力を排除しようとして則天武后が利用した科挙により登用された市井の優秀な者は、彼女の敵であった玄宗の時代に彼を助けて活躍するのは皮肉なことだ。
この本の優れた点は、「張説」の良いところだけでなく、悪い点も上げていることだろう。自分にも心の闇はある・・・しかし、仕事に家庭の維持に努めるべく、働かねばならない。