秋水

日本初のロケット戦闘機「秋水」―液体ロケットエンジン機の誕生

日本初のロケット戦闘機「秋水」―液体ロケットエンジン機の誕生

太平洋戦争末期に、B29に対抗するためにドイツより技術を取り入れ、設計・製作された世界でも珍しい「ロケット戦闘機 秋水」。戦争末期、追い詰められた日本軍は藁おもすがる感じでロケット戦闘機の開発を進める。
開発は困難を極めたが、本家ドイツが数年掛けて開発したこの特異な方式の戦闘機を1年程度で開発。試験飛行に漕ぎ付ける。しかし、戦局はさらに悪化し、推進用の薬剤の製造もまままならず、結局機体もも3機程度しか製造できなかった。
本書は失われつつある資料に当たり、先入観にとらわれず客観的に秋水開発の経緯と周辺事情をよくまとめている。著者は三菱重工OBで、本書が記されたきっかけは各務原自衛隊施設で保管されていた「発掘された機体」を整備・復元する事業の進捗・完成による。
子供の頃、飛行機の図鑑などでほとんど想像図的名絵を見ていたが、具体的な紹介はなかった、どちらかといえば「超重爆撃機 富嶽」などと同じく未完成機として紹介されていたと思う。しられざる開発経過をよくここまで取材されたと思う。