ファシズムと文化

山川出版社の「世界史リブレット」シリーズの「ファシズムと文化」ISBN:4634347806 を読んだ。ファシズムについて第二次世界大戦前の「ヒトラー」と「ナチス」の中心的思想とととらえられがちだが「ファシズム」という単語はイタリアでのムッソリーニを中心とした暴力的な政治活動を指す。この本はイタリアでのファシズムと文化活動の関係を中心に解説している。ドイツのナチスの文化活動に対する考え方は「プロパガンダ」に象徴されるが、イタリアでもそうした意図でファシズムと文化活動を結びつけようとした動きはあった。ただ「プロパガンダ」としての側面だけでなく、ファシズムの思想的影響下でも純粋に芸術的センスを保ちつづけた芸術家も存在した。ファシストの援助を受けながらも現在でも評価されている劇作品もある。絵画においても同様で、影響は完全には否定できないが、芸術家といえども生活のためには時代の潮流に合わせた活動を行わなければ、基本的には生きて行けない。
別の視点で本書の感想を書くが、イタリアにおけるムッソリーニの台頭の経緯は今まで詳しく知る機会は無かったが、国王とムッソリーニの関係など、比較的わかりやすくまとめられているので、イタリアにおけるファシズムの入門的に読めた。