映画らしい映画・・・

日本のアニメ映画を見ていると、ハリウッドなどのスペクタクルな実写作品をお金をかけてつくるよりよっぽどコストパフォーマンスかつ内容的にも充実した作品ができているんじゃないか?と思えてくる。
この作品は、内容的にも演出的にも実写も含めて古くから存在する「映画」の良いところが引き継がれていると思う。
ストーリー的には、歴史の「もしも」の中に設定があり、ある種の配慮を感じるが、場所を現代のイラクIRAとUK政府の対立に差し替えても違和感が無い。その意味で対立する勢力の間で翻弄される二人というモチーフは「ロミオとジュリエット」以来一般的で、無難な設定と言える。しかし、主人公は人の姿をした狼であり、相手役を自らが狼の群れの一員となって食いちぎってしまう「妄想」を見る場面の演出は伏線としてみるものを後から納得させ、結末の理不尽さをいくらか和らげているような気がした。
主人公の相手役が「二人で逃げよう・・・」と主人公に語りかけるが、主人公はある種の目的と約束の為それはできないと断った直後に相手役は死を覚悟したかもと感じることはできた。あの場面で二人が一緒に別の場所へ逃げていったら・・・・どうなるだろうかと思いたくなる演出がすばらしい。