図説 古代ローマの戦い

図説 古代ローマの戦い

訳者のあとがきに原著者は1969年生まれで30代でこの本をまとめたことが紹介されていた。ちょっとショック。ま、日本の場合大学に残ったりして学究の世界に入ると結構悲惨な生活だったりするから、今の自分の状況と、大学に残ってそのまま研究生活を続けるのとどっちらがよいか・・・理想だけでは食べていけないからねえ。
それはともかく、内容的にはすばらしい。ローマの共和制(またはそれ以前)から帝政の終焉時までローマ軍の戦い方が良くまとめられている。ヨーロッパは決して先進的な発展を続けたわけではなく、ローマ帝国崩壊後逆行する時代が続いた後に現在がある。
ローマが常に領土の拡張と戦争の勝利を重ねた理由は負けを認めない姿勢(国民性)だったらしいが、実際にはいろいろな条件が複雑に絡むだろう。なによりも負けた部族(国)の人々を結果的に協力者にしてしまう外交的手腕も優れていたのだろう。現代のその理想を実現するのは難しいが、USAはその建国の理想のなかでかつてのローマの共和制としての政治体制を目指しているようだ。それはしかし、勝利を続けなければいけない・・・ローマ帝国も結果的に勝利を重ね続けることができない状態になり崩壊した歴史を残した。USAも勝利できない戦いに埋没してしまうのではないだろうか?