スキャンダルだらけの研究者たち・・・

いつの時代でも足の引っ張り合いはあるし、自己中心的な人物はいるものだけど・・・歴史的経緯もあって、いろいろ誤解されている人間関係も多いこと・・・本書を読むと、ケプラーの性格をはじめ、いろいろな問題点を知ることとなるが、またそうした性格上の問題点がなければ科学はずっと遅れていたかもしれない。そのあたりが評価が難しいところだが、ひとついえることは、功績の前に疑惑は打ち消されたということだ。
本書のスタンスは、状況証拠を積み重ねて犯人を追い詰める刑事や探偵に似て、それらが主人公の刑事物、探偵物を読んでいる間隔を覚える。しかし、文献の引用は慎重で、かならず出典を示していることに好感を覚えた。そして、疑惑の正誤を断定していない。
科学史の中の比較的重い問題を扱っているが、軽く読める構成で、すばらしい。